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組織人間たちの集合近眼 忖度と不祥事の体質
日本で昨今、文科省また財務省など中央官庁の不祥事が続く。さらに東芝やオリンパスなどでの不正会計や、神戸製鋼や三菱マテリアルなどでの品質偽装なども次々と起き、メディアで大きく報じられてきた。世間からはもてはやされるような職場でさえも、繰り返し起きていると言わざるを得ない。
このような不正・不祥事は、特に日本で目立つように思われるが、実は海外でもフォルクスワーゲン(VW)の排ガス試験逃れの不正、またアメリカの金融業界でも不祥事が起き続けているなど、組織の体質に基づくと思われる事象は諸外国においても起きている。
著者は、「集合近眼」という概念を用い、組織の病理構造について国内外の学会等で活発に発表を続けてきた。本書では、理論的・学術的根拠を踏まえつつも具体的な事例も交え、集合近眼にまつわるさまざまな問題、例えば、不祥事においてよく起きる「わが社の常識、社会の非常識」のメカニズムを説明しつつ、その変革の難しさも説明している。日本語として集合近眼は耳慣れない言葉のようにも感じられるが、ヨーロッパ語圏では英訳のCollective Myopiaが、これらの現象を腹落ちさせる言葉で理解を得やすいとのことである。
本来の意味を忘れた秩序や規範に人々が囚われ出す時、組織は集合近眼へとはまり込んでしまう。組織を維持可能とするためには、信頼性を高め、安全性を確保することが大切であることを一般の読者向けにできるだけ分かりやすく、エッセイのように語る。はじめに
第1章 体質による企業・組織の不祥事
第2章 体質の正体
第3章 集合近眼という組織の病理─Collective Myopia
第4章 集合近眼による悪影響
第5章 体質改善の可能性を模索する
第6章 集合近眼とグローバリズム
第7章 集合近眼を認識した後の対処
第8章 次世代・人類共通知へのナラティブと学習可能性
あとがき
学術的背景・系譜